写真:動物の命救う最前線 酪農学園大・医療センター クマにMRI、てんかん入念検査
北海道の今

動物の命救う最前線 酪農学園大・医療センター クマにMRI、てんかん入念検査

2020年08月19日

酪農学園大付属動物医療センター(江別市)は、牛、馬といった道内の生産活動に欠かせない動物の診療に加え、動物園の飼育動物や家庭で飼われているペットも対象に高度な医療を行う施設だ。最近では、世界的にも珍しいという生きたクマへの磁気共鳴画像装置(MRI)検査も実施。動物たちの「最後のとりで」として最善を尽くす獣医師たちの現場を見た。

 「気管挿管します!」。6月下旬、同センターの麻酔導入覚醒室。麻酔科・集中治療科の佐野忠士准教授(45)が周囲の獣医師たちに注意を促した。心電図モニターの電子音が響く室内の緊張が高まった。

 ストレッチャーに横たわるのは、のぼりべつクマ牧場(登別市)で飼育されている雄のエゾヒグマのショウヘイ(2歳)。体重110キロの巨体だ。

 2019年7月から、突然意識が無くなり、けいれん発作を起こすてんかんの症状が出るようになった。クマ牧場でも血液検査を行ったが原因が分からず、クマの診療実績がある同センターに検査を依頼。この日、MRI検査が行われた。

■緊張の気管挿管

 「気管挿管」では、気管にチューブを挿入する。約2時間の検査中にのどがふさがれて窒息することを防いだり、目覚めないよう麻酔ガスを送り続けたりするのが目的。すでに注射で全身麻酔をかけているが、口に手を入れる必要があり、一連の処置で最も神経を使う瞬間だ。

 「麻酔が切れたら一大事。事前のシミュレーションを徹底した」と佐野准教授。数分で挿入する間、別のスタッフが同時進行で足の動脈にカテーテルを通し、血液を調べた。誰もが役割を自認し、的確に動く。

 ショウヘイを頭からMRI機器の内部に入れる。毛に付着したダニや砂鉄で、繊細な機器に支障が出ないよう全身がビニールに包まれている。機器は人間のMRIと同じもので、同センターでは動物専用に使っている。

■脳脊髄液採取も

 脳の撮影画像を神経科の上野博史教授(51)が次々にチェック。腫瘍や炎症、出血などの異常は見当たらない。より詳しく調べるため、脳に近い首の後ろから脳脊髄液も採取した。

 上野教授によると、クマの治療に関する論文は海外を含めて少ない。生きたクマに全身麻酔をかけてMRIを撮り、脳脊髄液まで採った後、覚醒させた例の学術論文はなく「世界で初めてではないか」(上野教授)という。

 上野教授はこの日、てんかん発作の原因が遺伝子異常か特発性のいずれか、ということまで絞りこんだ。今後、道外の大学に血液を送って最終確定する。「動物は自覚症状がない。検査や処置を怠らず原因を探ることに尽きる」と話す。

■全国で診療最多

 同センターの19年度の診療件数2万7千件は全国17の獣医科大学動物病院で最多。このうちペットの診療件数が1万2千件と半分近くを占め、全国2位だ。ペットの長寿命化に伴い腫瘍の治療が増えているという。

 同センター腫瘍科・軟部外科の酒井俊和助教(37)がこの日、診察していたのは14歳になる猫。1年前に同センターで尿管結石の手術を受けて以降、感染症の症状が出ているという。酒井助教は手早く血液検査を行い、症状が深刻化していないかなどを調べると、空知管内南幌町に住む飼い主に引き渡した。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の期間も、同センターは緊急性の高い診療を続けた。加藤敏英センター長(62)は「一般の動物病院では診療が難しい症例などを受け入れ、役割を果たした。今や動物たちは人間の伴侶。センターの高度医療は動物の命だけでなく飼い主の心も救うのです」と強調する。

(提供:北海道新聞)

RETURN
写真:空港イベント情報はこちら
AIRPORT INFO.
空港情報 空港イベント情報はこちら
写真:peach 新千歳⇆那覇 就航
AIRPORT INFO.
空港情報 peach 新千歳⇆那覇 就航
写真:北海道旅行補助・割引クーポン情報
CAMPAIGN
キャンペーン情報 北海道旅行補助・割引クーポン情報

MOVIE