写真:河原の植生回復へダム放水 中札内 道内唯一の「フラッシュ放流」 種押し流し自生種の繁殖促す
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河原の植生回復へダム放水 中札内 道内唯一の「フラッシュ放流」 種押し流し自生種の繁殖促す

2020年08月26日

帯広開発建設部は十勝管内中札内村の札内川ダムで、貯水中の水を一気に流す「フラッシュ放流」を行っている。札内川は同ダムの建設などで増水が抑えられた一方、河川敷の樹林化など環境変化が進む。人為的に増水させることで樹木の種などを押し流し、本来生息していたケショウヤナギなどの貴重な動植物を取り戻そうとする道内唯一の試みだ。

 6月24日早朝、札内川ダムの放水口から「ゴー」というごう音を響かせ、水が噴き出した。ダムを管理する帯広開建は2日間にわたって毎秒最大115トン、札幌ドーム約5杯分の約747万7千トンを放流した。

 2012年から毎年この時期に行われるフラッシュ放流は、「ダムファン」垂ぜんの光景。帯広市の主婦山口美鈴さん(45)は「1年に1度の貴重な風景」と興奮気味に話し、熱心に一眼レフカメラのシャッターを切っていた。

 ダムから約16キロ下流の同村上札内橋付近は、放流開始の半日後には水位が1メートルほど上昇。普段は穏やかな清流だが、濁流が倒木を押し流す荒々しい姿に一変した。

 札内川流域は氷河期の生き残りとされるケショウヤナギの群生地で、道は1962年に帯広市内にある自生地約5ヘクタールを天然記念物に指定。ケショウヤナギは大小の石で覆われた「礫(れき)河原」で育ち、こうした環境は雪解けなどによる増水でつくられていた。

 しかし、98年の同ダム建設や堤防整備で増水が抑えられたことにより、ダム付近から帯広市大正橋までの流域の礫河原は95年の350ヘクタールから、09年は130ヘクタールに減少。ケショウヤナギの自生地に他のヤナギ類が繁茂するようになった。

 フラッシュ放流は、他のヤナギ類の種などを押し流し、礫河原を再生する狙い。ヤナギ類の伐採などの対策も進めた結果、18年の調査で、流域にダム建設前の水準に近い約340ヘクタールの礫河原を確認。ケショウヤナギが新たに芽吹き、姿が少なくなっていたチドリ類などの渡り鳥も飛来していた。

 民間の環境保全団体「環境林づくり研究所」(美唄市)の斎藤新一郎所長(78)は「フラッシュ放流がケショウヤナギ保全の助けになっている」と評価。札内川河川敷で自然体験教室や高校生との調査活動などを続けている市民団体「十勝川中流部市民協働会議」(帯広市)の藤堂博事務局長(73)は「河川は子供らが多様な生物に触れられる重要な場。関心を持って見守っていきたい」と自然豊かな河川の再生を願う。

 フラッシュ放流には河川環境の再生に加え、台風シーズン前にダムの水位を下げて治水効果を高める狙いもある。帯広開建治水課の工藤拓也課長(35)は「有効性が確認できれば、道内の他のダムでも行いたい」と話している。

 <ことば>ケショウヤナギ 春の開花期に幼木の枝や葉の裏にろう状の物質を分泌し、白く化粧しているように見えることから名付けられた。冬は枝が赤く色づく。樹齢100年で高さ約25メートルまで育つ。国内では主に十勝、日高、オホーツク各管内と長野県の上高地地方に隔離分布する。数千万年前から生息しているとみられ、氷河期の「生きた化石」とも呼ばれる。

(提供:北海道新聞)

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