写真:映画「糸」 道内ロケ地を巡る
北海道の今

映画「糸」 道内ロケ地を巡る

2020年10月14日

函館市や上川・十勝・空知管内など道内各地で撮影された映画「糸」(瀬々敬久監督)が、全国の映画館で公開されている。歌手中島みゆきさん=札幌市出身=の代表曲「糸」をモチーフにした恋愛映画で、人気俳優の菅田将暉さんと小松菜奈さんが主演。公開前からファンがロケ地に足を運ぶなど、地元では「ロケ地巡礼」の経済効果に期待が高まる。道内各地の記者が、ロケ地でゆかりの人たちを訪ねた。

・映画の結末など、物語の核心に極力触れないよう注意を払っています。

・新型コロナウイルス感染防止のため、訪れる際は「3密」(密閉、密集、密接)を避けるなど、十分な対応・対策にご配慮ください。

・ロケ地の中には、私有地や立ち入りを制限している場所もあります。ルールを守り、節度ある行動を心掛けてください。

■上富良野

 主演の菅田将暉さん演じる漣(れん)は上川管内上富良野町育ちという設定だ。町内では昨夏、町役場や深山(みやま)峠ラベンダー園など5カ所で撮影が行われた。小松さん演じる葵(あおい)は上川管内美瑛町育ちという設定で、2人は13歳のころに出会う。

 幼なじみの主人公2人が、大人になって2度目に再会するシーンの舞台は美瑛町役場という設定だが、古めの建物がストーリーに合うとして上富良野町役場で撮影された。

 「かみふらの十勝岳観光協会」事務局長の長田公一さん(62)は、役場のシーンに自らもエキストラとして参加。「当初、2人の再会シーンは、お互いの声に気付き振り向く設定だった」。だが、菅田さんが「声色だけで気付くのは違和感がある」と瀬々敬久(ぜぜ・たかひさ)監督に指摘。印鑑が落ちて視線が重なり、お互いに気付くシーンに変更されたという。

 長田さんは振り返る。「菅田さんは爽やかな印象だったが、監督に意見する姿はカッコ良かった」

 町は8月、映画「糸」や、テレビドラマ「北の国から」「優しい時間」のロケ地をまとめた「上富良野ロケ地マップ」を作り、JR上富良野駅や観光協会、町役場などで配布している。町役場1階には、ラベンダー畑のパネルを背景に写真が撮れる記念写真スポットも設置した。9月末まで土・日曜も役場を開放し、観光客を歓迎している。

映画公開以降、観光協会には「ロケ地マップがほしい」「土・日曜でも役場に行って良いか」などの問い合わせが相次いでいる。町企画商工観光課は「ラベンダー畑の花のピークは過ぎたが、町を訪れてくれる映画ファンには、特産品やグルメにも目を向けほしい」と期待する。

■美唄

 もう一人の主演・小松菜奈さん演じる葵(あおい)は、上川管内美瑛町育ちという設定だ。しかし、「実家」周辺などの重要なシーンは、美唄市南美唄町で昨年7月下旬から9月中旬にかけて撮影された。

 陸上自衛隊美唄駐屯地近くの住宅は、葵の自宅として撮影。近くにある市営団地の一角は、菅田将暉さん演じる主人公の漣(れん)が、中学生のころ、自転車を押しながら葵を自宅に送り届けるシーンに登場した。

南美唄町の中央通りにある空き家は「子ども食堂」として使用された。建物には、映画で用いた黄色い看板が、今も掲げられたままに。市民だけでなく、全国から多くのファンが足を運んでいる。9月6日に訪れた美唄市内の50代の女性は「美唄が出ていると聞いて、映画を見てからロケ地を探しに来ました。地元が映画に出るなんてうれしい」と笑顔を見せた。

映画には登場しないが、美唄には、もう一つ重要なスポットがある。美唄ロケの間、出演者が楽屋として使った「居酒屋あべちゃんち」(美唄市南美唄町中央通1)だ。店内には、菅田さん、小松さんをはじめ、「子ども食堂」を営む女性を演じた倍賞美津子さん、漣の娘役を演じた稲垣来泉(くるみ)さん、瀬々敬久監督のサインが並んでいる。

映画公開直前の8月には、兵庫県から女性4人が、歌手としても活躍する菅田さんのライブで購入したTシャツを着て来店。ほかにも、菅田さんや小松さんのファンが店を訪れ、出演者たちがよく座っていた掘りごたつのテーブル席で食事している。

 店主の阿部弘典さん(34)によると、美唄ロケの時、店一押しのこぶし大ほどあるザンギを弁当として、出演者やスタッフに提供したところ、菅田さんが「ザンギやば、あべちゃんちやば」と興奮した様子で食べていたという。

美唄ロケ最終日にもザンギ弁当の注文があったそうで、阿部さんは、冗談交じりに、こう語る。「この店は映画には登場していないのに、ロケ現場よりも出演者が長くいた場所。裏話がたくさんあるので、本編よりも楽しいかも」

■十勝

歌手中島みゆきさん(帯広柏葉高卒)が青春時代を過ごした帯広市など十勝管内も、映画の重要なシーンのロケ地となった。

帯広市中心部のバー「BAR909(バー・ナイン・オー・ナイン)」では昨年8月、丸1日かけてロケが行われた。主演の菅田将暉さん演じる漣(れん)が、職場の先輩・香を演じる栄倉奈々さんや、友人役の成田凌さん、その恋人役の二階堂ふみさんと食事や歌を楽しむ様子が撮影された。店内の椅子やテーブル、食器などは、そのまま使われている。

撮影中の店内は暗幕で覆われ、雑音を防ぐためにエアコンの電源も切られた。汗がとまらないほどの暑さだったが、代表の内田耕二さん(45)は「同じシーンを何度も演じる役者さんの集中力がすごかった」と振り返る。

一方、休憩に入った出演者はリラックスした様子で、菅田さんが内田さんの私物のギターを弾く姿に「意外な一面も見られた」。

 映画の公開前後から、週末を中心に全国から多くのファンが来店。帯広市の藤野紗弥さん(20)は二階堂さんの大ファンといい、同じ看護学校に通う友人2人と9月4日に店を訪れた。「出演者と同じ席に座れてうれしい」と話し、同級生で十勝管内音更町の工藤柚希さん(20)も「自分も映画に出た気分」と笑顔を見せた。

スナックや焼き鳥屋が並ぶ店の近くの路地「いなり小路」も登場する。

十勝管内幕別町の「チーズ工房NEEDS」は、蓮の勤める美瑛町の職場として実名で登場する。ロケは昨年7月から12月にかけて計3回行われ、失恋した香(栄倉さん)と、蓮(菅田さん)が本音をぶつけ合う印象的なシーンもここで撮影された。

店内には、菅田さんや工房の責任者として出演する松重豊さんらのサインが飾られている。撮影のお礼として自主的に書き残してくれたという。店外の立て看板は映画用に制作され、そのまま工房に寄贈されたものだ。

工場長の磯部公児さん(52)はチーズ作りの技術指導を務めた。チーズ作りは温度などに左右されやすく、菅田さんが試作するシーンでは、チーズが固まるまでの30分間、スタッフを含む現場の約40人が固唾(かたず)をのんで見守った。「胃に穴が開きそうなくらいしびれた撮影だった」と苦笑いを浮かべた。工房を訪れるファンも多いが、磯部さんは「牧場に隣接しているので工房以外には立ち入らないでほしい」と呼び掛ける。

■函館

映画の設定として、上川管内上富良野町や美瑛町と並び、重要な舞台となるのが、函館市だ。市内の施設では、映画の公開に合わせてパネル展やポスターの掲示などが行われている。

函館空港(函館市高松町)は、国内便の保安検査場の通過後、飛行機に乗る人が見送りに来た人とガラス越しに電話できる「もしもしコーナー」が映画に登場した。コーナーの一角には現在、「ロケはこの柱で行われました」と記した案内文や、ポスターのほか、出演者が電話を使って会話する映画の一場面の写真が掲げられている。

一緒に旅行中の友人と電話を使っていた東京都在住の大学生山口拓海さん(21)は「映画は知っていたが、函館空港で撮影していたとは知らなかった」と話し、スマートフォンで友人と記念撮影していた。

同じくロケ場所となった、津軽海峡フェリーの函館フェリーターミナル(函館市港町3)では、ロケの様子や映画の内容を紹介するパネル展を8月21日から開催しており、2週間で約300人が訪れた。

展示している写真は計8枚。ロケの行われた夜間に大勢のエキストラが外の広場に集まる様子や、フェリーに乗り込む様子などを写したものだ。キャストを紹介する資料も掲示。映画の配給元の東宝が作製した道内ロケ地を紹介するマップも置いた。パネル展は10月末までの予定で、無料。

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(提供:北海道新聞)

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