
北海道の今
タンチョウ 染める朝日 鳴き交わす
2021年01月06日
「コー、カッカ」。冷え込みの厳しい早朝、鶴居村の伊藤サンクチュアリでは、国の特別天然記念物タンチョウがよく響く声で鳴き交わしを始めた。
伊藤サンクチュアリでは奥の林から朝日が昇り、レンズと鳥、太陽が一直線に結ばれる。日の出直後、ねぐらから飛来したタンチョウが息を整え、鳴き交わすと逆光線と相まって吐息まで美しいオレンジ色に染まり、息をのむ光景が広がった。
絶滅が危惧されたタンチョウは、地道な保護活動により1800羽まで生息数を増やした。釧路湿原から道内各地へ生息地の分散が進む。エサ場や春の営巣地、冬期間のねぐらなどすべての環境がそろう鶴居村は、タンチョウにとって安心安全な、まさに聖域(サンクチュアリ)だ。
タンチョウと村の共存が末永く続いてほしいと願う。
(提供:北海道新聞)