
北海道の今
オジロワシ 重厚な松から海峡見つめ
2021年01月22日
空を染め、朝日が昇る。オジロワシのつがいが羽を休め、根室海峡の海をじっと見つめている。
別海町本別海にあるグイマツは、町の指定文化財に選ばれている。海風にさらされ、幹は風下の方へ大きく傾く。枝の一部は地をはうように垂れ下がり、太い幹を支えている。長期間風雪に耐えた姿は、まるで重厚な盆栽のようだ。
太陽が地平線からゆっくり昇る。オジロワシと松のシルエットがくっきりと映し出される。時間の経過とともに空の色は黒から濃紺、桃色、赤へと移り、風景を変えていく。太陽が松の高さを超えて明るさが増すと、近くの漁港から漁船が出港し、船を追うようにオジロワシが飛び立った。
連綿と繰り返されてきた光景を、来る年も見られるだろうか。吹き付ける浜風の中、かじかんだ指先に息をかけ、思いを巡らせた。
(提供:北海道新聞)