
北海道の今
コミミズク 愛嬌ある「情けなさ」
2021年01月12日
太陽が傾いた夕方、漁船が陸揚げされた野付半島で、ふらふら頼りなげに飛ぶ鳥がいる。コミミズクだ。
冬鳥のコミミズクは、日中は枯れ草の中で休むことが多く、夕方から活発に動き回る。雪原を低空で飛行し、エサとなるヤチネズミを探す。上下左右に顔を動かして飛ぶ姿は愛嬌(あいきょう)たっぷりで、野鳥愛好家から「コミミちゃん」と呼ばれるほど人気がある。
上手にネズミを狩るが、獲物を持って飛び立つとカラスに集団で襲われ、奪われることもしばしば。油断していると、同じ猛禽(もうきん)類のハヤブサが猛スピードで飛んで来て体当たりされ、食べられてしまうこともある。少々情けない姿も人気の秘訣(ひけつ)なのかもしれない。
海峡に突き出た野付半島には、ほかにも多くの猛禽類が飛来する。昨年はハクトウワシが話題をさらった。冬の野付半島は寒いが楽しい。
(提供:北海道新聞)