
北海道の今
エゾシカ トゲの枝食べ懸命に生きる
2021年01月25日
雪と氷に覆われた真冬の野付半島。色を感じさせるものはなく、モノトーンの世界が広がる。
夕方が近づくと、立ち枯れたナラワラの林から次々とエゾシカが現れ、道路沿いに集まった。積もった雪の下に埋まっている食べ物になりそうな枯れ草を探すが、雪の表面は何度も凍結を繰り返し、簡単に掘り起こすことができないほど固く凍っている。
食べ物が見つからず、口にできるのはトゲで覆われた枝だけなのか。エゾシカがハマナスの枝をかじり始めた。根室管内では、エゾシカによるハマナスの食害が深刻だ。行政機関が、鳥獣保護区などにシカが侵入するのを防ぐ対策を練る。
なんとか生きようとするエゾシカの姿に心を打たれると同時に、食害行動を目の当たりにして胸が痛む。複雑な心境でファインダー越しにエゾシカを見つめた。
(提供:北海道新聞)