
北海道の今
クロテン 雪の穴からひょっこり
2021年02月09日
真冬日が続く十勝管内の山奥。積雪が1メートルに達する森で、かわいい顔をしたクロテンに出合った。
ふっくらした白い冬毛に覆われたクロテンは、寒さなど気にする様子もない。積もった雪の中にトンネルを縦横に掘り、木の根元などに出入り口を作り、顔を出す。雪の中で見えないが、肉食のクロテンは、移動するヤチネズミなどを捕らえて食べているようだ。
クロテンの英名はセーブル。高級毛皮の代名詞だ。道内では明治期に乱獲され、生息数が減少。1920年に禁猟となったが、100年ほどで個体数がどの程度回復したかは不明だ。観察例は少なく、繁殖など生態がよくわかっていない謎の多い動物でもある。
冬は雪上に残された足跡をたどることができるが、雪が解けると観察の手がかりは登山道に残されたふんだけ。謎はなかなか解けない。
(提供:北海道新聞)