写真:朽ちゆく「幻の橋」
北海道の今

朽ちゆく「幻の橋」

2021年02月16日

雄大な大雪山系に向かって十勝平野を北上すると、山に囲まれた真っ白な「大地」が現れた。十勝管内上士幌町の糠平湖。ワカサギ釣りのカラフルなテントの立ち並ぶ湖上の奥に、薄茶色のタウシュベツ川橋梁(きょうりょう)がポツンとたたずんでいた。

 全長130メートル、高さ10メートルのコンクリート製の橋。旧国鉄士幌線のアーチ橋梁群の一つとして、1937年(昭和12年)に完成したが、1955年、糠平ダムの建設に伴い、湖内に取り残された。

 発電によるダム湖の水位の変化で姿が見え隠れすることから「幻の橋」とも呼ばれる。例年6月ごろから水位が上がり始め、天候次第だが、10月ごろまでに水に覆われる。

 見学ツアーなどを行うNPO法人ひがし大雪自然ガイドセンター代表の河田充さん(60)によると、「糠平湖のめがね橋」として地元住民の間では知られていたが、2001年に北海道遺産に認定され、注目を浴びるようになったという。

 2008年にJRのポスターに採用されると、さらに人気を集め、インターネットの普及や会員制交流サイト(SNS)での拡散によって、今では日本全国から多くの観光客が訪れる。

 一方、完成から80年以上が経ち、ダム湖特有の水位の変化や冬の凍結による橋の風化が深刻だ。

 2003年の十勝沖地震後に崩落が確認され、2017年、2020年と相次いで崩れ落ちた。上空からも、雪原に伸びる橋の影が大きく欠けているのが、よく分かる。

 今季、湖上への立ち入りが禁止される直前の2月8日、ひがし大雪自然ガイドセンターのツアーに参加し、地上からも橋を眺めた。劣化したコンクリートから飛び出した鉄筋や、側壁が剥がれ落ち、むき出しとなった砂利。裏側まで大きくひび割れたアーチなど、上空からでは分からなかった橋の自然劣化が確認できた。

 自然に朽ちていく姿に魅力を感じ、訪れる人も多い。ツアーに参加した札幌市の会社員嘉村鳳真さん(25)は、「手つかずのままに残っているのが、すごい。来るたびに違う姿を見ることができるのも魅力だと思う」と話した。

 「1~2年のうちにアーチの一つが崩れてしまうのでは」と話す河田さん。30年以上前に糠平へ移住し、多くの観光客を橋へ案内してきた。「タウシュベツ川橋梁は上士幌にとって重要な観光資源であり、旧国鉄士幌線など地域の歴史を伝える貴重な遺産でもある。いつかは消えて無くなる運命ではあるが、橋として見えている間は来て見てほしい」と語った。

 雨風にさらされ、水や雪に覆われ、過酷な環境で80年あまり。橋としての形をなんとか保ってきたが、11のアーチが連なる光景の見納めが着実に近づいているのも確かだろう。

(提供:北海道新聞)

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