写真:地域を潤す希望の一滴
北海道の今

地域を潤す希望の一滴

2021年04月24日

長い冬が終わり、陽光が降り注ぐ後志管内積丹町の山間地。今月20日、2頭の馬が心地よさそうに新鮮な青草をはみ、大地を足で踏みならしていた。

 昨年5月に洋酒ジンの製造を始めた農業法人積丹スピリット(積丹町)が、低コストで耕作放棄地を農地によみがえらせ、ジンの香り付けに使う植物成分(ボタニカル)を育てる試みだ。酪農家が離農して荒れた土地を2016年に町から借り、既に約3ヘクタールを農地にした。

 ジンは、ジントニックやマティーニなどのカクテルに使うアルコール度数の高いお酒。玉露など「和」を演出した商品で知られる京都蒸溜所のように、地域性豊かなボタニカルで造る「クラフトジン」は今、世界的に人気を集めている。

 札幌の女性木工デザイナーが「(積丹のように)海に囲まれ、強風が吹く英国スコットランド最北部で、世界が認める良質なジンが生まれている」と、地域活性化策としてジン造りを町に提言したのが始まりだった。ジンに不可欠なスパイス、ジュニパーベリーの近親種ミヤマビャクシンが自生するなど地の利もあるとみて、積丹スピリットの岩井宏文社長(51)が事業化に踏み切った。

 積丹は雪解けも遅く、「農業に条件の良い土地はごくわずか」(町幹部)だ。耕作放棄地一帯の土壌は酸性で粘土質と悪条件が重なったが、農業コンサルタントが本業の岩井社長は「野菜は無理でも、樹木やハーブなら栽培できる」と直感した。レモンバームやヒソップなど既に80種類以上を栽培し、昨年6月と12月に発売したジン「火(ほ)の帆(ほ)」の香り付けにも使った。ジュニパーベリーの木の試験栽培にも挑んでいる。

 道内有数の海水浴場や特産のウニで知られる積丹町は人口2千人を割った。松井秀紀町長(73)は「町外の人がジンを造り、町民に積丹の価値を気づかせてくれた」と語り、小さな蒸留所が今後のまちづくりに及ぼす効果に強く期待する。

 同社が操業に向けて募ったクラウドファンディング(CF)には、外国人を含む336人から約2200万円が集まった。同社は今秋発売の新商品で、売り上げの一部を町特産のウニの餌となる藻場整備などに充てる構想も描く。

 16年以前はほとんどなかったジン(ウォッカ含む)の輸出額は19年に34億円、コロナ禍の20年でも20億円に上り、同社もジンの本場の欧州輸出に乗り出す構えだ。

 道内各地でここ数年、ワイナリーや酒蔵、ウイスキー蒸留所などの進出が相次いでいる。「お酒はマチに人を呼び、地域を再生するエンジンにもなり得る。そして何より、世界に『SHAKOTAN』を発信することができる」。岩井社長が抱く志は、道内で一滴ずつ丹精されたお酒に無限の可能性が秘められている証しでもある。

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(提供:北海道新聞)

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