写真:地域を潤す希望の一滴 銘醸地 道内に続々
北海道の今

地域を潤す希望の一滴 銘醸地 道内に続々

2021年04月24日

その土地でしかできないワインづくりなど、徹底して品質を追求する取り組みが道内各地で始まっている。

*畑ごとに仕込み

 十勝管内芽室町のめむろワイナリーで今月上旬、町産のブドウ「山幸」で初めて仕込んだ赤ワインの試飲が行われた。醸造責任者の広瀬秀司さん(70)は二つのグラスを比べて「こっちのワインは青みがかっている。もう一つは黄色みがあって、透明感がある」と納得の表情を浮かべた。

 同社は尾藤光一社長(57)ら町内の農家を中心に2019年に設立。広瀬さんは同管内池田町で十勝ワインの製造に四半世紀以上携わった経験がある。

 広瀬さんは、農家がブドウを育てた土地が町内に点在することに着目。「同じ品種のブドウでも土壌や日照時間が違えば全く違う味になる」と、あえて畑ごとにワインを仕込んだ。7月に発売する赤ワイン8種類のラベルには、5人のブドウ農家の名前を入れる。

 ブドウの買い付け価格も1キロ500円と「通常より2割は高い」(尾藤社長)。手間もコストもかかるが、本場のフランスのように畑の個性を際立たせるこの手法を確立したい考え。尾藤社長は「ラベルに名前を出し、買い取り価格も保証すれば、農家は手を抜けない。世界に類のない味を作る」と力を込める。

*AIが杜氏支援

 「こういうお酒を、安定して造るお手伝いができれば」。人工知能(AI)研究の第一人者として知られる松原仁東大教授(62)が19日、渡島管内七飯町の箱館醸蔵で仕込みを見学しながら目を細めた。

 同社は温度や湿度、発酵時に働く物質などのデータを取り続け、どのような環境下だとおいしいお酒ができるのかを分析する。昨年まで公立はこだて未来大で研究していた松原教授が協力を申し出た。杜氏(とうじ)の支援や酒造りの技術継承に役立つAIの開発は、道内ではほかに例がない。

 箱館醸蔵は道南で35年ぶりに復活した酒蔵で、2月に生産を始めた。道内の多くの酒蔵は冬場に仕込むが、通年の「四季醸造」にも着手する。酒米の炊き場、米とこうじを混ぜる部屋など蔵の中を細かく仕切り、空調も整備して、夏場でも蔵を10度前後に保つという。

 杜氏の東谷浩樹さん(52)は「新酒が一年中あるので、旬な状態のお酒を常に提供できる」と期待する。

*本州資本も参入

 道内で近年、稼働を始めた酒造会社のうち、ワイナリーは本州資本の参入も相次ぐ。ドメーヌ・レゾン(上川管内中富良野町)は山梨県甲州市を拠点とするワイン製造会社が設立。飼育するヤギのふんをブドウの肥料に使う循環型農業に取り組む。日本酒の三千桜酒造は上川管内東川町の誘致を受け、岐阜県中津川市から酒蔵を移した。

 地元のシラカバ樹液を使う美深白樺ブルワリー(同管内美深町)など地ビールの醸造所も増えている。これらの新規参入組は、安定生産や地域との連携が鍵となりそうだ。

 「地域や北海道にとって『なくてはならない存在』でありたいと今でも考え、味も質も絶えず磨き続けている」。1934年から後志管内余市町で操業するニッカウヰスキー北海道工場の岩武公明工場長(56)は道内の先駆者として新しい仲間にエールを送る。

*「風土」への評価高く*北大大学院 曾根輝雄教授

 北海道で今なぜ、次々とお酒の造り手が生まれているのだろうか。道産のワインやウイスキーに詳しい北大大学院農学研究院の曾根輝雄教授(51)=応用微生物学=に聞いた。(聞き手・拝原稔)

 個人でワイナリーを起業する人にも、日本酒やウイスキーを造ろうと進出してきた本州資本にも共通しているのが「北海道で造りたい」という強い意志です。北海道というテロワール(土地の個性や風土)が、高く評価されているからでしょう。ブドウや酒米、大麦などの原材料の産地である上、風景や自然環境も素晴らしいですから。

 「過疎地域の活性化」「日本最北」など、海外や本州の人に関心を持ってもらえるストーリーを描きやすいことも、活況の一因のような気がします。もちろん、アジアを中心に世界に通用する「北海道ブランド」の力もあるでしょう。

 今、一番大事なのは、この流れに水を差さないように、お酒の品質をしっかりと維持していくことです。道が開催している「ワインアカデミー」のように、新規参入を目指す人に対し、技術や知識を教える努力が欠かせないでしょう。

 ワイナリーや酒蔵、ウイスキー蒸留所には、北の大地の新たな文化の担い手を目指してほしい。コロナ禍で制約はあるでしょうが、各造り手が生産現場を公開して観光客と対話したり、各地の海の幸や山の幸とお酒のマリアージュ(組み合わせ)を考えたりする。この努力

の積み重ねが北海道の新たな魅力をつくり、地域の活性化につながるはずです。

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(提供:北海道新聞)

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