写真:「道内蒸留」高まる価値
北海道の今

「道内蒸留」高まる価値

2021年05月04日

「今夏にも、ここでウイスキーの熟成試験をやります」。ウイスキー製造、堅展実業(東京)の樋田恵一社長(54)が4月中旬、富良野市内で語った。

■富良野が候補

 ウイスキーには大麦だけで造る「モルト」と、トウモロコシなどの穀物が原料の「グレーン」がある。同社は2016年11月、モルトの生産拠点として釧路管内厚岸町の厚岸蒸溜所を稼働したが、グレーンの製造拠点はない。

 ただ、冷涼な厚岸では穀類の栽培は難しい上、過去に全国発売した6製品は即日完売で、増産が急務となっていた。そこで、トウモロコシや大麦の生産地の富良野を候補地とし、数億円を投じての新工場建設など事業拡大の検討に入った。

 国産ウイスキーは世界5大ウイスキーとしてスコッチ、アイリッシュなどと並び称される。日本洋酒酒造組合(東京)は品質向上のため4月から、国内で蒸留、熟成した原酒だけを使った商品にのみ「ジャパニーズウイスキー」(JW)の表示を認める新基準を設けた。

 堅展実業が以前発売した厚岸産モルトと英国産グレーンを混ぜた「ブレンデッド」はJWの対象外。グレーンが富良野産なら全商品がJWとなり、輸入物のグレーンを使った商品が多い大手と差別化できる。「道産のモルトとグレーンで品質世界一を取り、北海道に恩返しをする」と樋田社長は販売戦略を思い描く。

■中国向け急増

 国税庁によると、日本のウイスキーの輸出金額は06年以降15年連続で増加。20年は従来の米国やフランスに加え中国向けが急増し、前年比約4割増の271億円に。98年以降では初めて、全酒類で首位となった。

 厚岸のような小規模のクラフト蒸留所では「イチローズモルト」の秩父蒸溜所(埼玉県秩父市)が道産ミズナラ製の樽を使って独自の味を出すなど品質へのこだわりで知られる。香港の競売で54本のセットが約1億円で売れたこともあり、業界でも注目の的だ。

 世界的リゾートに成長した後志管内ニセコ町で3月下旬、日本酒「八海山」で知られる八海醸造(新潟県南魚沼市)がモルトのクラフト蒸留所を稼働した。八海山は米国やシンガポールへの輸出実績があり、ウイスキーもニセコの外国人観光客を通じ、海外への情報を増やす戦略だ。南雲二郎社長(62)は「北海道やニセコのブランドに見合った高品質な商品を世界に発信したい」と力を込める。

■続く原酒不足

 道内各社の動きが加速する中、道産ウイスキーの本家で大手のニッカウヰスキー北海道工場(後志管内余市町)も、32年ぶりの新熟成庫建設を決めた。ハイボール人気に加

え、14~15年のNHKドラマ「マッサン」ブームで原酒不足が解消できず、フル稼働が続く。

 ニッカはサントリーとともに英国の国際コンテストで最高賞の常連に。岸本健利社長(61)は「日本のウイスキーの質はもうスコットランドにも圧倒的に勝っている」と自信を見せる。

 道内は大麦の産地で原酒の熟成に適するなど風土に恵まれ、新たにウイスキー生産を検討する動きもある。大消費地に遠くコストがかかる弱点を克服し、世界に認められる酒質を築き上げることが、クラフト蒸留所の飛躍の鍵となる。

(提供:北海道新聞)

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