写真:個性派ビールに存在感
北海道の今

個性派ビールに存在感

2021年05月04日

琥珀(こはく)色のビールがグラスに注がれると、かんきつ類のようなホップの香りがすっと広がった。上川管内上富良野町のクラフトビール会社「忽布古丹(ほっぷこたん)醸造」が直営する札幌市中央区南2西3の店「タップルーム ビアコタン」では、同町産ホップを使った個性あふれる商品をそろえる。

 同社は上富良野町でホップが生産されることに目を付け、2018年にビールの醸造を開始。廃業したビアレストランの一角に工場を構えた。同町はサッポロビールが開発し米国などに広がったホップ「ソラチエース」の原産地でもある。

 今は地域の契約農家で米国原産の品種を収穫しているが、独自品種も開発中で、もう少しで栽培にこぎ着けそうだ。忽布古丹醸造の堤野貴之社長(45)は「道は険しいが、上富良野の名前を国内外に広められるような品種をうちでも育ててみたい」と目標を掲げる。

■かつてブーム

 道内のビール事情に詳しい札幌の飲食店主、坂巻紀久雄さん(50)によると、1994年の酒税法改正でビールの最低製造量が年2千キロリットルから60キロリットルに緩和され、全国各地に「地ビール」が生まれた。道内の先駆けはオホーツクビール(北見)

で99年には最多の33社を数えたが、品質や価格面で客足が遠のき、2013年には16社に半減。その後、小規模な業者が造った独自の商品を「クラフトビール」と呼ぶようになり、現在は25社に戻った。

 江別産小麦でまろやかさを出した「ヴァイツェン」が人気のSOCブルーイング(江別)や、オホーツク海の流氷を仕込み水に使った水色の「流氷ドラフト」が看板の網走ビール(網走)など、地域色豊かな製品を造るメーカーが多い。

■製法洗い直す

 道内外で高い知名度を誇るのが、菓子製造販売わかさいも本舗(胆振管内洞爺湖町)が登別市内で造る「のぼりべつ地ビール鬼伝説」だ。土産用のビールとして98年に製造を始めたが、需要が落ち込んだ10年以降に「製法を徹底的に洗い直した」結果、全国の飲食店など600店以上に出荷するまでに成長した。今年3月に東京の有名ビアバーで開かれた、苦みのあるビール「IPA」の全国コンテストでも専門家、来場者の評価で1位になった。

 欧米や中国などからの引き合いもあるが、あえて断り続けている。「無添加で熱処理をしていないから、今の味が出せる。品質管理上、現在の環境で輸出するのは難しい」と柴田泰彦工場長(53)。あくまでも質を優先し、登別の魅力を国内外に発信し続けている。

■「希望の光に」

 一方、焼酎業界では清酒会社の上川大雪酒造(上川管内上川町)の新規参入が注目されている。町特産のソバを原材料に使った焼酎の生産ができなくなった地元農協に代わり、同社の酒蔵「緑丘蔵(りょっきゅうぐら)」に設置した小型蒸留器で製造を担うことになった。5月中旬に町内限定で発売予定で、同社の川端慎治・総杜氏(とうじ)(51)は「焼酎で町産ソバの魅力を高め、コロナ収束後、世界から戻ってくる観光客をもてなしたい」と意気込む。

 観光が主産業の上川町はコロナ禍で20年度、町内大手ホテルの稼働率が2割を下回るなど、地域経済の落ち込みは深刻だ。佐藤芳治町長(72)は「特産品を輝かせてくれるお酒の存在は、地域や町民の希望の光になる」と語る。

(提供:北海道新聞)

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