写真:苦境の清酒 輸出に活路
北海道の今

苦境の清酒 輸出に活路

2021年05月04日

留萌管内増毛町の国稀酒造の酒蔵が4月13日、新酒の甘い香りに包まれた。道産の酒米「山田錦」で試験醸造した純米吟醸酒だ。試飲した林真二社長(71)は「コロナ禍に挑むには、世界に打って出るしかない。最高の時期に出てきてくれた」と笑みを浮かべた。

■道産「山田錦」

 山田錦は大粒で、雑味の原因となるタンパク質が少なく酒造りに最適と言われる国内最高品質の酒米で兵庫県が主産地。耐冷性が弱く新潟県が北限とされていた。主食用米の需要減で、加工用米への転作を検討していた芦別市の稲作農家加藤穣さん(56)が「どうせなら酒米の最高峰に挑戦したい」と発案。2016年から試験栽培を始め、20年には1・4トンを収穫し今回の醸造にこぎ着けた。

 国稀酒造は米国への輸出を増やそうと、敬虔(けいけん)なユダヤ教徒向けの認証「コーシャ」を取得予定。道産の山田錦でブランド力を強化し、弾みをつけたい考えだ。

 加藤さんらとプロジェクトチームを編成する道銀アグリビジネス推進室(札幌)は、今年も順調に収穫できれば道内の酒蔵5カ所に醸造を依頼する計画で「吟風や彗星(すいせい)などの道産酒米とともに、清酒業界を盛り上げる存在になれば」(木村秀雄顧問)という。

■出荷が3割減

 道内の清酒会社は新型コロナウイルスの流行が始まった昨春以降、苦境が続いている。北海道酒造組合によると、昨年4月~今年3月の出荷量は前年比27・3%減の324万7千リットル。同組合幹部は「コロナ禍による外食需要減に加え、国内外の観光客によるお土産の需要が消えたのが痛かった」と肩を落とす。

 代わりに販路を広げようとしているのが国外だ。過去5年の輸出量(道内免税店での売り上げ含む)は10万~20万リットル台で出荷全体の5%前後にとどまり、コロナの収束次第だが十分伸び代が見込めるからだ。

 小林酒造(空知管内栗山町)も昨夏、仏のコンクールで道産酒では初めてトップ5入りしたのをきっかけに欧州への輸出拡大を模索。古くから米国などに販路を持つ男山(旭川)も外国人に人気があるにごり酒を4月上旬に発売した。

■物流コストを

 こうした業界の動きを広告業ニトリパブリック(札幌)が後押しする。同社は毎月2回、中国・上海などからの定期コンテナ船で日用品を運んでおり、これまではほぼ空だった折り返し便のコンテナに日本酒を積み込み、低コストで定期的に輸出するのが目標だ。

 昨年12月に第1陣として千本を輸出。今年7月にも現地の大手スーパーで販売し、日本料理店経営者らとのオンライン商談会も開く。ニトリが多方面に持つルートを活用し安定した取引に発展させたい考えだ。同社の荒井功社長(65)は「販路の確立は容易ではないが、道内酒蔵の助けになれば」と語り、道産ワインや地ビールなどにも対象を広げられないか模索する。

 「コロナ禍で減った売り上げを取り戻す」―。人口減や若者の日本酒離れで国内需要が先細りする中、造り手が国外へ目を向けるのは必然の流れとなっている。田中酒造(小樽)社長で北海道酒造組合の田中一良会長(63)は「お酒の味を磨いたり外国人の目を引くラベルを考えたりして巻き返し、道内の酒蔵の未来につなげたい」と話す。

(提供:北海道新聞)

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