
太古へ 誘うはポケモン 三笠市立博物館で特別展 恐竜とキャラ並べて比較
2021年07月11日
三笠市立博物館が、人気ゲームのポケットモンスター(ポケモン)に登場するキャラクターと、実在した恐竜やアンモナイトを比較するユニークな特別展「ポケモン化石博物館」を開催中だ。研究員が幼少時代、ポケモンと似た生き物を図鑑で探した経験を基に「子どもたちが科学に興味を持つきっかけになれば」と企画。親子連れらが来館し、太古の時代に思いをはせている。
「ポケモンとティラノサウルスの牙が同じだった」。札幌から訪れた百合が原小5年の山㟢縫(やまざきぬい)君(11)が、長さ4・5メートル、高さ2・5メートルのポケモン「ガチゴラス」の骨格模型や恐竜の化石のレプリカなどを見比べ、目を輝かせた。
特別展では、渦巻き状のアンモナイト化石などの古生物資料約30点や実物大を含むポケモン模型8点を並べた。ゲームに出てくる「カセキポケモン」と恐竜などをイラストや骨格図を比較して考察できるよう展示。類似点にはあえて触れず、子どもたちが発見する喜びを大切にしている。
企画したのは、東京出身の同館主任研究員相場大佑(あいばだいすけ)さん(31)。幼少期からのポケモンファンで、8歳の誕生日プレゼントにゲームソフトを買ってもらい、いろいろなキャラを仲間にしながら冒険していくゲームの世界に熱中した。
多くのポケモンと生き物の姿が似ているのに気づき、図鑑をめくると「初めて見る植物もあり、自分が知らない世界があるとワクワクした」。ポケモンを通じて科学研究の基礎である観察と比較を体感し、古生物学の道に進む土台になった。
横浜国大大学院で学んでいた2015年、アンモナイト化石を常設展示する同館の研究員に。ポケモンには古生物の最新学説が取り入れられていると感じ、「ポケモンを入り口に、最新の研究成果を紹介したい」と特別展を思い立った。
ポケモンはテレビアニメ化もされ、登場する「ピカチュウ」は世界中で親しまれている。任天堂の関連会社ポケモン(東京)に協力を依頼したところ、全面的な支援を受けられることに。国立科学博物館(同)にも相談すると、全国の博物館資源を活用する「科学系博物館イノベーションセンター」事業の第1弾となり、島根、東京、愛知での巡回展も決まった。骨格図を専門とするイラストレーターも協力し、「いろいろな専門家が集まり、想定していた以上に質の高い展示になった」(相場さん)。
新型コロナウイルス感染対策のため、観覧はインターネットによる完全予約制としたが、初日の4日は600人の枠が5分で埋まる人気に。消毒などを徹底する中、道内外のポケモンファンが来館し、スマートフォンで熱心にポケモン模型を撮影するなどしている。相場さんは「常設のアンモナイトなどもじっくり見てもらい、うれしい」と手応えを感じている。
特別展は9月20日まで。高校生以上700円、小中学生400円。午前9時~午後5時。月曜休館(月曜が祝日の場合は翌日)。問い合わせは、三笠市立博物館(電)01267・6・7545へ。
(提供:北海道新聞)