写真:理想のワイン探求、農楽蔵10年 佐々木さん夫妻、道南で着実に 「土地と造り手 個性生かす」
北海道の今

理想のワイン探求、農楽蔵10年 佐々木さん夫妻、道南で着実に 「土地と造り手 個性生かす」

2021年08月13日

道内外で人気を集めるワイナリー「農楽蔵(のらくら)」が北斗市にほ場を開いてから、今年で10年。佐々木賢さん(43)、佳津子さん(46)夫妻は有機栽培のブドウを使い、野生酵母で発酵させる自然派ワインを生み出してきた。節目を迎えた農楽蔵の「これまで」と、新規参入が相次ぐ道南ワインの「これから」を2人に聞いた。

 「地層を伝って出てくる湧き水のような余韻を大切にしている」と賢さん。ろ過をせず、酸化防止剤不使用を基本にピュアな味わいを実現する。年間約1万3千本を出荷し、取り扱う酒販店は全国に約50店。すぐに売り切れることから「幻のワイン」とも称される。

 農楽蔵は2011年に北斗市文月にほ場を開設し、12年に函館市元町の印刷会社跡にワイナリーを開いた。現在は約3ヘクタールの畑で白ブドウ「シャルドネ」と黒ブドウ「ピノ・ノワール」を中心に育てている。

 11年当時、道南のワイナリーは3軒のみ。「『ワイナリーを建てるなんて夢物語』と言われたが、夢じゃないよと思ってました」と佳津子さんはいう。仏ブルゴーニュ地方で栽培と醸造を学んだ2人は、経験値と気象データを元に道内の他地域と比べて秋が長く、ブドウの成熟を見込める道南に目を付けた。

■食のイベント定着

 自分たちの目指すワイン造りについて、酒販店や飲食店に時間をかけて説明することで、店側は利用客に造り手の思いを伝えてくれる。それは、市民の間にも浸透していった。食事と一緒にワインを楽しんでほしい―。その思いが実を結んだのが16年に初開催した「のまサルーテ」だ。2人は10年で最も印象深いと口をそろえる。

 農楽蔵をはじめ、函館の酒販店や飲食店でつくる実行委が主催。国内外の自然派ワインと料理を一緒に味わうことができ、道南の農産物とワインを販売するマルシェもある。隔年で開き、18年は400人近くが訪れた。賢さんは「生産者と飲食店がつながり、消費者が楽しんでくれる理想の形」と語る。

 16年には台風の影響でブドウの垣根が倒れ、塩害も受けた。借金の返済で苦しい時期もあった。それでも佳津子さんは「自分たちがおいしいと思うものを『作品』としてこつこつ表現し続けられたのが良かったかな」とはにかむ。

■新規参入サポート

 道南では近年、ワイナリーの新規参入が相次ぐ。函館市にほ場を構える仏老舗ワイナリー「ドメーヌ・ド・モンティーユ」をはじめ、渡島総合振興局によると個人・法人合わせて少なくとも15軒がワイン用ブドウを栽培している。

 「1軒のワイナリーが10種類のワインを造るより、10軒のワイナリーがそれぞれ1種類ずつ造る方が多様性があって楽しい」。賢さんはいつも繰り返す。だからこそ、新規参入者の土地選びをサポートし、栽培技術も丁寧に教える。道南により適した品種を見つけられるようにと、ほ場の一画を使って試験的に約20品種のブドウを育てる。

 22年春には北斗市の畑近くに新たなワイナリーを着工し、23年の完成を見込む。今より2倍ほど広いスペースで長期熟成を実現する狙いだ。あくなき探求心を持つ2人に、理想のワイン像を尋ねた。「道南らしい土地の個性と、造り手としての自分たちの個性。二つの個性が両立するワインです」。唯一無二の「作品」がこれからも人々を魅了し続ける。

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(提供:北海道新聞)

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