
北海道の今
新型ウルフは歩いて威嚇 奈井江・太田精器 東京の鳥獣対策展に試作機
2021年11月27日
野生動物向け忌避装置「モンスターウルフ」を製造する太田精器(奈井江)が、四足歩行で畑などを動き回る自走式の新機種を開発中だ。従来の設置型以上にシカやクマなどを警戒させ、より高い忌避効果を得ることを目指している。来年度に農地での実証実験も行いたい考えで、同社は「ロボットによる獣害対策」の実現に意欲を見せている。
「ウルフ」は音や光でシカなどを追い払うオオカミを模した装置。首を左右に振り、目の光や音を発して動物を追い払うもので、道内外の畑作地などに約100台が導入されている。顧客から自走式を希望する声が上がり、同社が昨年から開発に乗り出した。
今月完成した試作機は全長約1メートルで、既存の中国製四足歩行ロボットを活用。ロボットは脚の付け根と膝部分の関節にモーターがあり、足裏の圧力センサーでバランスを
取りながら歩行する。足の動きや音、光の発出を設定できる大阪のソフトウエア開発会社のプログラム機能も組み込んだ。
同社は試作機を「リアルモンスターウルフ」と名付け、24~26日に東京ビッグサイトで開催された「鳥獣対策・ジビエ利活用展」(一般社団法人日本能率協会主催)で展示。システム不良で歩行できなかったが、立ち上がる様子までを披露した。その動きはリアルな動物を思わせ、展示ブースには3日間で500人以上が来訪。愛知県の会社員犬飼一雅さん(57)は「動くことでより効果があるのでは」と注目した。
商品化の時期は未定だが、同社は田畑の自動パトロールなどに向けて開発を進める。太田裕治社長は「移動もできる究極の忌避装置にしたい」と話している。
(提供:北海道新聞)