
北海道の今
閉園惜しむ遠ぼえ「ウォーーン」(旭山動物園)
2022年02月28日
午後3時15分。閉園を知らせる「蛍の光」が園内に流れ始めると、オオカミたちが白い息を吐きながら深く鋭い声で遠ぼえを始める。「ウォーーン」「ワァオワァオ」「ウォーン」。声の主は、旭川市旭山動物園で飼育されているシンリンオオカミたちだ。
動物園で飼育している5頭のうち来園者が見ることのできるのは、レラ、ワッカ、ノチウの3頭のきょうだい。2020年10月に群れのリーダー「αオス」だった父親のケンが死んだ後、甘えん坊だった末っ子のノチウが徐々にリーダーとして成長し、現在は姉2頭の仲を取りもつように群れをまとめあげている。
オオカミを担当する原田佳飼育員(42)は「遠ぼえは群れで生活するオオカミを象徴する行動で、それを楽しみに見学する来園者も多い。気がそれると遠ぼえをしないこともあるので、園内放送のかかる時間帯は飼育スペースに近づかないようにしています」。
オオカミの遠ぼえには、群れの仲間とのコミュニケーションや他の群れへの縄張りの主張などさまざまな意味があるという。息をすべて吐ききるかのような長い声や波打つような短い声。どこか寂しげなメロディーに合わせるように響き渡るオオカミたちの合唱は、帰路につく来園者を呼びとめているようにも聞こえる。
(提供:北海道新聞)
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