
非圧雪エリア利用時はGPSアプリ義務 トマムスキー場、遭難防止へ
2022年03月15日
星野リゾート・トマムスキー場は上級者限定の非圧雪エリア利用者に今冬、スマートフォンへのGPSアプリ「yukiyama(ユキヤマ)」の登録を義務づけた。ほぼ手つかずの自然の中を滑走できるのが限定エリアの魅力だが、ほかの圧雪コースに比べて見通しは良くない。アプリの利用で事故が起きた時の素早い救助や、遭難防止につなげる狙いがある。
限定エリアは2004年に設置され、林間滑走や起伏を楽しめる。スキー場の管理区域内だが圧雪していない。同スキー場によると、過去には迷ったスキーヤーからの救助要請もあったという。
「ユキヤマ」を導入したのは1月下旬。限定エリアを利用する人はまず、スキー場内にある専用窓口でスタッフに入場を伝え、アプリのパスワードを入手する。貸与されるヘルメットも着用する。
広報担当者は「けがや遭難した場合、GPSアプリを使って居場所を特定し、迅速な救助につなげたい」と期待する。
一方、道内ではスキー場の管理区域外で滑走するバックカントリーによる遭難事故も毎年のように起きている。上川管内では1月中旬、富良野スキー場の管理区域外をスノーボードで滑っていた男性3人が行方不明になり、一夜明けてから道警ヘリが山中で救助する
遭難があった。富良野署によると、3人の正確な位置情報がつかめず、遭難発生から救助まで1日近くを要した。
トマムスキー場はバックカントリースキーそのものは否定していない。限定エリアでは、バックカントリースキーの初心者に向けたツアーも開催している。ただ、スキー場内には、管理区域外で遭難した場合の救助捜索費用(1時間当たり)も掲示している。「パトロール隊員1人につき2万円から。雪上車1台5万円から」と金額を明確にして、遭難は自己責任であることを利用者に伝える。
近年、富良野地方でもバックカントリースキーの人気は高まっているが、地域全体でルールはない。
星野リゾートトマムは「国内外のルールを参考にして作った条件と利用者の自己責任のもとで、ありのままの自然の地形を滑って楽しむ文化を残したい」としている。
(提供:北海道新聞)
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